私たちは普通の人間とは少し違う。

何が違うって?







それは、

それはね。







神に選ばれてしまったこと。



それが少し違うところ。








Human chosen to the god as apostle.












今までの私は、神に選ばれたから何?って思ってた。

エクソシストになったからって何も変わらない。

他の人間は関係ない。私は、私の人生を歩めばいいと―― そう思ってた。










でも、その考えは見事に打ち砕かれることになる。


彼と出逢ったから。








エクソシストになるのが 神に選ばれた事が 私の運命だって言うんなら

彼と出逢う事も、運命だったのかもしれない。














横を見ればさっきまで寝ていたはずの姿が無い。

ベッドから身を起こして辺りを見回す。

すると朝早いというのに既に身支度を終えた彼の姿が。








「神田」



彼の髪が揺れる。




「おはよう」









「……」

「……」










「なんだよ」




「……もう、 行っちゃうの?」




「…ああ」










「………」

「………」










「次」

「?」

「次は、いつ頃になる?」

「……何が」

「…わかってるくせに。」

「………」










「聞き返さないの?」

「…お前だってわかってるんだろ?」

「…まぁね。」











「それで、次は?」




「わかっているんだろ」という問いに「わかっている」と答えたはずなのに、

また同じ質問をする。そんな私の行動に神田は怪訝な顔をして私を見る。



その顔をじっと見つめ 一呼吸置いてから続きを話し出す。







「もう一度、






もう一度あなたとこんな会話がしたかったの。」













「―――ハッ。突然何言ってやがる。お前らしくもねぇ」












「…私らしいって何?」










声が震える。









「ねぇ神田。私ね、私 ほんとはいつも怖かったの。

朝、目が覚めたとき隣にあなたが居ない日が…あなたが傍に居ない日が」










堰を切ったように今まで隠してきた本音と 涙が溢れ出す。

そんな私を見て神田は一瞬驚いたようだったけれど、何も言わずベッドに腰をかけて私を優しく 強く 抱きしめた。


それが 嬉しくて でも 悲しくて 神田にすがり付いて泣きじゃくる。










「あなたが任務に出る時、もしかしたら、あなたと話をすることが これで最後になるかもしれない。

いつも、そう思ってた。

いつか 二度と会えなくなるときが来るかもしれない って、そう思ってた。

私たちは普通の人間とは 少し違うから…ッ ん…」







涙を流し、精一杯言葉を紡ぎ出した言葉を神田の唇が遮る。







「 ふ…あっ、 か  かんだ…  神田…っ」



…」










神田の唇が離れたかと思うと今度は私の頬に伝う涙を舐めとる。












「かん だ…?」












「心配すんな。俺はそんなにやわじゃねぇし…お前を置いて逝けるハズねぇだろ。

だから…もう泣くな。」








「 うん。わかった。もう、泣かない。

 神田、早く 帰ってきてね。私も死なないから。

また、一緒に話をしようね。」






涙が止まらない。けど、精一杯の笑顔で 神田を見送る。







「いってらっしゃい。」






「ああ。行ってくる」







神田は少し微笑み、去ってゆく。

任務のために。

次はいつ会えるかわからない。あなたの後ろ姿を眺める。
























「神田…愛してる」
























神田は『他の人間は関係ない。自分の人生を歩めばいい』。

前の私と同じ考えをしていると思う。





でも






もう私はあなた無しでは生きていけない。

あなたに出逢ってしまったから。

『他の人間』として見ることができなくなった。






大切な あなた。


あなたも、私と同じ想いであると 願いたい。




















*神田が元帥探しに行く前の出来事。だと思ってくだされば…!!
名前変換無いに等しくてスミマセン;
ちなみにタイトルは『使徒として神に選ばれた人間』という意味です。

2005/11/3


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