放課後の



「あー、やっと終わったぁー!!お疲れ様、国光!」
「…あぁ、お疲れ様。」
「ねぇねぇ、今日は部活、無いの?」
「俺たちは3年だからな。テスト最終日くらい後輩達もノンビリしたいものだろう。」
「ふぅ〜ん…」
「…・何だ?」
「えっ、いや…自分が後輩達にとって怖い存在だって認めてるんだなーって」
「……部長は常に厳格な態度を取るべきだ」
「国光は1年のときとか部長は怖かったの?」
「……。」
「・・んなわけないよねぇー、はははっ」



現在、午後4時過ぎ。私と国光以外、誰も居ない放課後の教室。
どうして誰も居ないのかというと、それは、今日が前期の期末テストの最終日だからである。
テスト。それは学生にとって苦痛の種の一つであろう。
しかし、テスト最終日。このときほど学生達が気を抜けるときはない。
クラスメイトを含め、他の学年の生徒は速やかに下校し、ハメを外している−−と、いうわけだ。
私と国光もその内の一人。




「ところで、…・・、今日のテストの出来はどうだったんだ?」
「ぅげ。そんなこと私に聞かないでよー。私が勉強が苦手だって知ってるくせにっ!国光のイジワルー!」




私と国光は幼稚園来の付き合い−−いわゆる幼馴染である。
そして、幼馴染という関係であり、恋人という関係でもある。
そういった関係であるから、お互いのことは、ほぼ知り尽くしている。
国光は勉強が出来て、スポーツも出来ること。
私は勉強が苦手で、スポーツも人並み程度かそれ以下で。
知ってるくせに、テストの出来を聞いてくる。
もちろん国光のほうが点数がいいから馬鹿にされているようで悔しいけれど、
悔しいけれど、心地良い。
昔から同じ言葉を投げかけてくる。
それが心に染み付いて。
当たり前のようになっていたけれど、幼馴染という関係を抜けてからは、
マンネリ化していた台詞が一新した。
そして改めて気づかされた。
彼との言葉のやり取りが、こんなにも私を感じさせてくれること。

気づかされたといえば。
中学に入学して、国光が青学テニス部レギュラーとして活躍しだして、生徒会に入って…
多忙な日々を送っていて、ロクな会話も出来ていなかった。
そのことが本当に、本当に寂しくて。辛く思うときもあった。
今日もホントは国光がすぐに部活に行っちゃうんじゃないかって思ってたんだけど…
珍しく一緒に残ってお喋りをしてくれている。
国光も案外気分屋なのかも。

…そんなことないか。気分屋だったら何かと困るしね。
後輩達のことを言い訳に、私と一緒に居ようとしてくれてるって、
私と一緒に居たいって想ってくれてるんだって…
だから今、こうしてここに居るんだって…
そう思っても、…自惚れても…いいよね?



「…?どうした、そんなにニコニコして…」

「んー♪?えっとねぇ、こうやって国光と二人っきりで居られるのが嬉しくって♪
ほら、国光いつもすぐに部活に行っちゃうでしょ?だけど今日は一緒に同じ時間を教室で過ごしてる。
これって結構貴重なことだよねvそう考えてたら自然と頬が緩んじゃうの」


もしかして、今までお前に寂しい想いをさせていたか…?」
「えっ?!」
「スマン…女心というものがイマイチよくわからなくて…
何をしたら、何を言ったらが喜ぶかも解らない…俺は駄目な男だな…」
「えっ、えっ?!何?どうしたの突然ッ!国光らしくないよ…?勉強のし過ぎで頭オカシクなった?」

「……。」

「冗談です。ごめんなさい。」

「…自分で言うのも何なんだが、俺は跡部のような男ではない。」
「うん。そりゃぁそうだよ。」
「女の扱いなんて、もってのほか。全くわからん。」
「うん。扱いに慣れてたら嫌だよ。」
「言い訳でしかないんだが…。そのせいで、お前に寂しい想いをさせているさせている…だろう?」

「……うん。」

「…−−すまな「待ってッ!」

言ってほしくなかった。言わせたくなかったの。
気が付いたら国光の言葉を制止してた。

「…待って、国光。よく聞いてほしいの。」
「……」

「私…私は、寂しいけど、寂しくないの。」
「…?それは一体どういうことだ…?」

「んっとね、国光が好きなことに夢中になって私のことを蔑ろにしちゃうのは寂しいの。
けどね、好きなことに夢中になってる国光を見てるのも好きなの。
特に、部活に−−テニスに夢中になっている国光を見るとね、ウキウキしてくるの。
楽しそうにテニスをしていたら私まで楽しくなってきちゃうの。
絶対負けたくない!勝つぞ!っていうオーラが出ているとき、私も一緒になって負けないぞって気持ちになる。」

「…?」

「国光が傍に居てくれないと寂しいんだけど、国光と同じ時間に一喜一憂し合って、
同じ空気、同じ空間に居れたら私は幸せなの。
私はいつも国光のこと想ってるよ。
だから国光も私が傍に居ないときに、少しでも私のことを想っていてくれたら私はもっと幸せになれるの。
あ、別に国光の愛情が足りないとか、そんなこと言いたいんじゃなくて…
うーん、言葉にするのって難しいね。。」

「いや、完全に理解しきれていないが、わかった。」
「ぇ!!ホントに?!あんな説明でわかったの…?」
「俺とお前は何年付き合ってると思ってるんだ?」
「あ、そっか!以心伝心、相思相愛だねッ?」
「あぁ。…これからはもっとお前の傍に居るから−−」


そっと、国光の唇が頬に触れる。


「…っ!」

「・・どうした?そんなに口をパクパクさせて。金魚みたいだぞ?」


国光にギュっと鼻を掴まれる。


「ぅあっ!な、何すんのよっ…!」
「それは、どっちの行為に対しての発言なんだ?」
「う…りょ、両方とも!って言いたいけど、最初のほう!!」
「今は放課後だし、誰も居てないだろう?」
「そ、そういうこと聞いてるんじゃないでしょー!」
「もしかして、口にしてほしかったのか…?」
「うきゃぁぁあっ!そういうことじゃないってばっ!国光の馬鹿ぁっ!」
「−−真っ赤になって怒ったも可愛いな。」
「えっ?!」

「愛してる、
「ぇ、う、あっ、、わ、私も…ッ。だいすき…愛してるよ。国光のこと、愛してる。」


しばらく見つめあい、どちらからともなく触れ合う唇と唇。


「…えへへ、なんだか恥ずかしいね。」
「あぁ…」



−−こうして二人だけの放課後は過ぎていった−−









その頃、廊下の隅の方では−−

「ふむ…手塚はの前ではあんな表情を見せるんだな…そしてあんなことや、こんなことまで…
いいデータだ取れたぞ…!これで手塚を脅迫して…!!」

「乾、あんまり過激なことはしちゃ駄目だよ?ほどほどにね。
それにしても…いいモノ見せてもらったよ、手塚…フフッ。しばらく君たちから目を離せそうにもないな。
これから楽しくなりそうだね…」

−−乾と不二が二人の会話・行動を見ていたらしく何かを呟いていた…




















昔々、友達に贈ったもの。
似非だ手塚…!!(笑)口調が真田っぽい?(笑
乾と不二を書くのがとても楽しかったという…(笑

2005/2/4


戻る